カクテル抗体とは・・・
当社のカクテル抗体は、がんマーカーに対するモノクローナル抗体がプレミックスされている、希釈済みの製品です。1度の染色で複数の抗原を同時に染めることができ、同一切片上で核と細胞質の
染色評価が可能です。大切な検体をより多く残し、時間と手間が省力化されることで判断のスピー
ドが向上します。
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NSSCLC Cocktail(肺腺癌と肺扁平上皮癌を鑑別するためのキット)
[NSSCLC Cocktail パンフレット]
肺癌の診断・治療においては、小細胞癌の否定のみではなく、扁平上皮癌を除外することが重要です。 しかし、呼吸器を専門とする病理医でも、組織材料の小さい経気管支生検等の診断においては、低分化な扁平上皮癌をHE 染色のみで正確に除外することは困難です。このため、複数の抗体を使用しての診断が必要ですが、この診断は作業的にも費用的にも負担が大きいものとなります。
そこで当社では、呼吸器病理のエキスパート指導の下、腺癌、扁平上皮癌の免疫組織化学的スクリーニング方法に適した 2種類の希釈済カクテル抗体(ADC Cocktail、SqCC Cocktail)を開発いたしました。 当社カクテル抗体の使用により、希釈作業が不要となり染色回数も減るため、作業負担等は大幅に軽減されます。また、当社カクテル抗体は二重染色の必要がありませんので、通常の染色手順で使用していただけます。
ラインナップ
SqCC CocktailとADC CocktailがセットになったNSSCLC Cockail KITで染色されれば、更に効率的ですので、セットでのご使用をお勧め致します。
SqCC Cocktail (p40+CK14)
p40 → 核が染色される
CK14→細胞質が染色される
※p40(ΔNp63)は、p63 に代わる
肺扁平上皮癌マーカーとして、注目されています。
SqCC Cocktail (p40)
肺扁平上皮癌組織染色像(陽性)
核と細胞質に陽性像がみられる
SqCC Cocktail(p40)
肺腺癌組織(陰性)
p40 の核染色は扁平上皮癌に高い特異性を示しますが、染色プロトコルによって、弱い細胞内染色性が、 非特異的な反応として腺癌に観察されることがあります。
CK14 の強い細胞質染色性とは鑑別可能ですが、混同される可能性がありますので、ご留意ください。
ADC Cocktail(TTF-1+NapsinA)
TTF-1 → 核が染色される
NapsinA→細胞質が染色される
ADC Cocktail 肺腺癌組織染色像(陽性)
核・細胞質に陽性像がみられる
ADC Cocktail 肺扁平上皮癌組織染色像(陰性)
Diff-MML (p63+CK14) Cocktail
(Differentiation of Mammary Lesions)
乳管内増殖性病変と非浸潤性乳癌、浸潤性乳癌の鑑別のためのカクテル抗体
[Diff-MML Cocktail パンフレット]
乳癌は癌罹患数で女性の一位を占めます。近年、診断技術の進歩から非浸潤性乳癌(以下、DCIS/LCIS)が多数発見されていますが、同時に良性の乳管内増殖性病変も遭遇する機会が増えています。良性の乳管内増殖性病変と DCIS/LCIS の鑑別には組織の HE 染色像と併せ乳管内増殖巣の二相性を確認することが必要で、各種の抗体による免疫染色が行われます。また、乳癌の病期予後診断や治療のためのコンパニオン診断のうえで DCIS/LCIS と浸潤性乳癌(以下、IDC/ILC)の評価は重要で、腫瘍細胞巣周囲の筋上皮細胞の存在は両者の鑑別診断となります。
本製品 Diff-MML(Differentiation of Mammary Lesions) Cocktail Antibody は、良性の乳管内上皮細胞の細胞質に陽性を示すことが多い CK14 と筋上皮細胞の核に陽性となる p63 をカクテルすることで、良性病変の二相性の確認と DCIS/LCIS の筋上皮の確認が可能となり、良性乳管内増殖病変、非浸潤性乳癌そして浸潤性乳癌の鑑別診断の一助として利用できます。
ラインナップ
p63 → 核が染色される
CK14 → 細胞質が染色される
Diff-MML Cocktail 染色例
乳癌(浸潤癌、非浸潤癌)とその周囲に見られた良性乳管内病変
良性乳管内病変は p63 と CK14 陽性
DCIS は腫瘍巣周囲に p63 陽性、浸潤癌は p63 と CK14 いずれも陰性
PIN Cocktail(AMACR+p63)
[PIN Cocktail パンフレット]
前立腺癌は異形の比較的少ない癌が多く、時に癌か過形成の判断が困難です。前立腺癌の診断には、 腺管の二層性が消失した細胞内の癌関連蛋白質の有無を確認することが判断上重要です。
具体的には、 次の 2 つの抗体を使用することで判断が可能になります。
- α-methylacyl CoA-racemace : AMACR (p504s)
前立腺癌細胞の細胞質内に粗顆粒状の陽性像を示しますが、非癌腺管は染まりません。
- p63
非癌腺管に存在する基底細胞の核に陽性像を示しますが、癌腺管は染まりません。
ただ、2 抗体を使用しての診断は作業的にも費用的にも負担が大きいものとなります。そこで当社は、 2 抗体を混和した希釈済カクテル抗体を開発しました。当社カクテル抗体の使用により、希釈作業が不要となり染色回数も減るため、作業負担等は大幅に軽減されます。また、当社カクテル抗体は二重染色の必要がありませんので、通常の染色手順で使用していただけます。
ラインナップ
p63 → 核が染色される (二相性を有する非癌部)
AMACR→細胞質が染色される
p63陽性の非がん前立腺管(左側半分)とAMACR陽性の癌腫(右側半分)
Melanoma Cocktail (SOX10+HMB45)
メラノーマの鑑別に有用なカクテル抗体
[Melanoma Cocktail パンフレット]
悪性黒色腫(メラノーマ)の診断はHE染色を基本に免疫染色でメラノサイトの不規則な増殖を確認する必要があります。
本製品メラノーマカクテル抗体は、一度の染色で増殖するメラノサイトを同一切片上で核(SOX10)と細胞質(HMB45)で確認が可能です。原発不明がんで常に考慮する必要のあるメラノーマの鑑別に有用なカクテル抗体です。
ラインナップ
SOX10 → 核が染色される
HMB45 → 細胞質が染色される
Melanoma Cocktail染色画像(陽性)
メラノーマ(色素産生)ヒト皮膚組織
Melanoma Cocktail染色画像(陽性)
メラノーマ(色素非産生)ヒト皮膚組織
MMC Cocktail (GATA3+Mammaglobin)
乳癌転移の鑑別に有用なカクテル抗体
[MMC Cocktail パンフレット]
乳癌は治療後の転移再発が希ではなく、女性で最も罹患数の高い癌です。女性に癌(腺癌)が見られた場合は乳癌の転移を鑑別する必要があります。転移病変で、原発臓器が乳癌であると確定するためには、HE組織像を大前提として、乳癌に特異性の高い抗体と共に、鑑別となる他臓器癌に特異性の高い抗体を組み合わせて鑑別します。
本製品は核に陽性となる抗体(GATA3)と、細胞質に陽性となる抗体(Mammaglobin)をカクテルし、同一切片上で核と細胞質の染色評価をすることができます。1度の染色で転移再発病変において乳癌が原発臓器の可能性が高いと判断することが可能なカクテル抗体です。
ラインナップ
GATA3 → 核が染色される
Mammaglobin → 細胞質が染色される
MMC Cocktail染色画像 (陽性)
乳癌組織
MMC Cocktail染色画像 (陽性)
肺組織 乳癌肺転移
MMC Cocktail染色画像 (陰性)
肺組織 原発肺腺癌
NE Cocktail
(INSM1+ChromograninA+Synaptophysin)
神経内分泌腫瘍鑑別のカクテル抗体
[NE Cocktail パンフレット]
神経内分泌腫瘍((Neuroendocrine tumor:NET) は、肺の小細胞癌に限らず全身臓器に発生する腫瘍です。形態的な特徴と免疫染色によって診断されます。
一般的に免疫染色では、Chromogranin AやSynaptophysin、CD56など複数の抗体で染色し、細胞質の陽性像を確認します。複数の抗体で確認するのは、NETの種類によって陽性率や抗体の特異性に違いが見られるためですが、複数染色は検出系二次抗体が各々に必要となります。さらに染色結果に重複が見られることも少なくありません。一方で、INSM1はNETの核に陽性となる数少ない抗体です。
本製品「NE Cocktail」は、細胞質に共通するChromogranin A、Synaptophysin抗体と核に陽性となるINSM1抗体をカクテルし、1回の染色でNETの鑑別が可能です。
異なる薄切面の2枚のスライドで核と細胞質を染色評価するのではなく、同一切片上で核と細胞質を同時に評価できるので、大変有用な商品です。
NETの鑑別に限らず、神経内分泌細胞の局在の評価にもご利用いただけます。
ラインナップ
INSM1→核が染色される
ChromograninA→細胞質が染色される
Synaptophysin→細胞質が染色される
NE Cocktail染色画像
肺小細胞癌
NE Cocktail染色画像
膵臓ラ氏島
Colon Cancer Cocktail
(CDX2+Cytokeratin20)
大腸癌転移と原発巣の推定に有用なカクテル抗体
[Colon Cancer パンフレット]
原発がんか、大腸癌転移かの診断は治療方針の決定に非常に重要です。
一般的に原発不明癌や転移・再発病変の原発巣推定にはCK7とCK20 の組み合わせが使われますが、大腸癌の転移を確定するには大腸粘膜の核に陽性となるCDX2が多用されます。
本製品は、大腸粘膜の核に陽性となる抗体(CDX2)と、広く消化器癌の細胞質に陽性となる抗体(Cytokeratin20)をカクテルし、1回の染色で由来臓器の鑑別と大腸癌転移かを推定することができます。
異なる薄切面の2枚のスライドで核と細胞質を染色評価するのではなく、同一切片上で核と細胞質を同時に評価できるので、大変有用な商品です。
ラインナップ
CDX2→核が染色される
Cytokeratin20→細胞質が染色される
Colon Cancer Cocktail染色画像
大腸癌の肺転移組織
Colon Cancer Cocktail染色画像
大腸癌組織